珠洲だより

    2008年

 
vol.1  「このお家から・・・」
1年前に引っ越してきたこのお家は壊される寸前でした。「落とし穴注意」と張り紙をする前に落ちてしまったねたを張替え中。

能登のお家は「田の字」と呼ばれるように建具をはずすと部屋が田んぼのように広く使える。日当たりのよい畳部屋が冠婚葬祭などの客間となるため、普段は日当たりの悪い所に暮らし、仏間がど真ん中にある。ならばと思い、仏間を壁でしきって展示空間をつくることにした。
っといっても私がしたわけではなく、いつもは土をこねこねしているパートナーが夏休み返上で、トントン大工仕事で。彼は小さい頃大工さんになりたかったこともあり、自分のアトリエも建てているので私の難題もなんなくこなしてくれた。

近くのおばあちゃんは息を吹き返した姿を見て、「※大好きなぁ」と言ってくれる。(※この辺では素敵な・いい感じを指すらしい)
まだまだ生きていけるお家が珠洲にはいっぱいあるように思います。
でも、そこには人の「思い」が必要かもしれない。

家を守り続けることは日々の暮らしの積み重ねがあってこそなのだと実感します。それは家という器だけでなくそこに住む人が大切に積み重ねて育てることでしか守っていけない気がします。
このお家は私の仕事と一緒で息を吹き返したばかりです。少しずつですが大切に残していきたい「大好きなぁ」ものを集めて、心をときめかせてくれる出会いをつくっていきたいと思います。

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