珠洲だより

    2009年

 
vol.2  「素敵な花束」
ちりんちり〜んと我が家の呼び鈴が鳴った。
慌てて出て行くとブーケのようなかわいい花束をもって立っている方が。
我が家から歩いて10歩の場所に素敵なお料理屋さんがある。月代わりのメニューはご主人のおもてなしの心がいっぱい詰まっている。私たちのご褒美は決まってここのお店へ。
山に採りに行って生けられる奥様のお花のセンスもピカイチ。お客様のいない時はわがままを言って別の個室も見せてもらって勉強。
そこの奥様が年の暮れになるとお世話になった方に、このちいさな葉牡丹を自分なりにアレンジして贈られるという。
「素敵でしょう。」と珠洲の農家で育てられた葉牡丹を愛しみながら眺める先にはバラの花束顔負けの贈り主の思いがあった。
地産地消と言われるけれど、美味しい物やこんな素敵なお花をいただくと、うーんと自慢したくなる。
来年は私も地元の人が大事に育てた葉牡丹を誰かに贈ろうと思う。
うーんと自分なりのアイデアを絞って、粋にそしてさりげなく・・・。
奥様が最後に「今日はこんなささやかなことでもちいさな幸せ楽しめるね。」と忙しく玄関を去っていった。贈られた方の私も同じことを言っていた。
それから私はその花束を何に生けようか考える、さらに幸せな時間をいただきました。

                              花器:棚橋祐介

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