珠洲だより

                       2012年

2012/1/13  榎本勝彦さんの工房を訪れました! vo.5
 ガラスの矢野太昭さんと岡山駅で初めてお会いして、まず伺ったのが榎本さんの自宅・工房でした。倉敷のあるコレクターが、好きだった作家さんを集めた中にお二人が入っていて、そのコレクターの方が亡き今も、チャネスト会として年に一度企画展を岡山でされているそうです。 
 古代エジプト語で「光り輝くもの」を意味するチェネト。ガラス、陶芸、彫金、工芸、日本画の作家さんがいるそうです。コレクターの眼が結びつけた縁が今でも生き続くという展覧会をぜひ見てみたくなりました。そして矢野さんが結び付けて下さるこれからの縁の背景にそのコレクターの方がいらっしゃることが、何か不思議な繋がりと力を感じました。
 
 榎本さんのご自宅は岡山駅から30〜40分程かかり、 
陶芸家、織りの方、そして榎本さんの3軒が小高い山の上に工悦邑(つくる喜びの邑)という名前をつけて暮らしています。

 木々のトンネルを抜けると、すーっと空気が開けるような場所にご自宅が建っていました。自然と共存していて美しく豊かな景色が広がると同時に、この空間だけを暮らす場として譲って下さいという自然に対しての謙虚な思いが伝わる場所でした。

 たくさんの木々に囲まれて制作される木彫とは・・玄関の戸を開けると、目に入ってきたのは小さな器。そして空間に溶け込んでいたベンチのような、飾り台のような木彫があり、人が手を加えているものでありながら、今までいた外と変わらない風景のようなものがありました。
 
 榎本さんご夫婦を前に、ありきたりの質問をすることさえもできなかったように思います。 
 自然の中で淡々と生き、そこからものを逆らわずに生み出していく人には、空気感のようなものがあります。目の前にある作品を見れば、どんどん使ってほしいものであることも、伝わりました。
 
 『使えるオブジェ』であってほしい。そのものに導かれた使う人と、一緒になって共同で完成に向かっていくと語る榎本さん。ひとつひとつの作品に「個」を感じた私は、きっとこの子(作品)たちがお嫁に行く所は、この子を幸せにしますから、下さい!といってくださるような方の所に行き、きっと10年、20年後に美しく成長していくのだろうなどと勝手に想像を膨らませたり・・・。

 自宅横の工房を見せてもらいました。 倉庫のような建物の中に木材が並び、さらに囲いされた秘密基地のような部屋がその奥にありました。
 なんだか入る前からわくわくするような入口。
戸棚の一番上の棚には飛行機のプラモデルが!なんだかいくつになっても男の人は・・・と言いたくなる程、居心地の良さそうな空間でした。
 
 今年の10月の企画展に榎本さんの作品が並びます!ぜひ、この場所から生まれる榎本さんの実物の作品を見ていただきたいです。 

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